こんにちは。歯科医の佐藤です。 今回は、スポーツ愛好家の方から、歯ぎしりでお悩みの方まで、幅広い方に役立つ情報をお届けしたいと思います。
それは、マウスガードについてです。 マウスガードは、歯や口腔内を守るための重要なアイテムですが、実は正しい選び方や使い方を知らない方が多いんですよ。
例えば、「マウスガードは、スポーツをする時だけ必要なもの」と思っていませんか? 実は、歯ぎしりや食いしばりなどの習癖がある方にも、マウスガードは大変効果的なんです。
また、「100均やスポーツショップで売っているマウスガードで十分」と考えるのも、ちょっと待ってください。 自分の口に合っていないマウスガードを使うことで、かえって口腔内のトラブルを引き起こす可能性があるのです。
そこで今回は、マウスガードの種類や特徴、選び方、使用方法、お手入れ方法など、歯科医の視点から詳しく解説していきます。
これを読めば、あなたに最適なマウスガードが選べて、正しく使えるようになりますよ。 では、さっそく始めましょう!
目次
マウスガードの種類と特徴
マウスガードには、大きく分けて2種類あります。 それは、歯科医院で作るカスタムメイドタイプと、スポーツショップなどで購入できる既製品タイプです。
でも、その2種類にもそれぞれ特徴があるんです。 詳しく見ていきましょう。
カスタムメイドマウスガード
カスタムメイドマウスガードは、歯科医院で歯型を取り、一人ひとりの口腔内にぴったりと合わせて作製するタイプです。 専門的にフィッティングされるため、装着感が良く、高い保護性能を発揮します。
カスタムメイドマウスガードの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 利点:
- 自分の歯並びや咬合に合わせて作られるため、フィット感が抜群
- 歯や顎へのダメージを最小限に抑える高い保護性能
- 装着感が良いため、長時間の使用でも快適
- 欠点:
- 歯科医院で歯型を取る必要があるため、作製に時間がかかる
- 既製品と比べると費用が高くなる
スポーツで激しい動きをする方や、強い歯ぎしりがある方には、カスタムメイドマウスガードがおすすめです。
既製品のマウスガード
既製品のマウスガードは、スポーツショップや薬局などで手軽に購入できるタイプです。 サイズや形状が決まっているため、自分の口に合ったものを選ぶ必要があります。
既製品マウスガードの特徴は、以下の通りです。
- 利点:
- 手軽に購入できるため、すぐに使い始められる
- カスタムメイドと比べると、費用が安い
- 欠点:
- 自分の口に合ったサイズや形状を選ぶ必要がある
- フィット感や保護性能は、カスタムメイドに劣る
- 使い捨てタイプは、長期的に見ると費用がかさむ
ライトなスポーツや、歯ぎしりの程度が軽い方には、既製品のマウスガードでも十分な場合があります。
マウスガードの材質の違い
マウスガードの材質は、主にエチレン酢酸ビニル(EVA)とポリウレタンの2種類に分けられます。
材質 | 特徴 |
---|---|
EVA | – 柔らかく、衝撃吸収性に優れる – 歯への負担が少ない – 加工が容易で、フィット感を出しやすい |
ポリウレタン | – EVAよりも硬く、耐久性が高い – 薄く作れるため、装着感が良い – 高い弾力性で、衝撃を分散させる |
それぞれの材質の特性を理解して、自分の用途に合ったマウスガードを選びましょう。
マウスガードの選び方
自分に合ったマウスガードを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
自分の目的に合ったタイプ選択
まずは、マウスガードを使う目的を明確にしましょう。
- スポーツ用途
- コンタクトスポーツ(ボクシング、ラグビーなど)→ 高い保護性能が必要
- 非コンタクトスポーツ(バスケットボール、野球など)→ 一定の保護性能と装着感が必要
- 歯ぎしり・食いしばり対策用途
- 強い歯ぎしり・食いしばり → カスタムメイドがおすすめ
- 軽度の歯ぎしり・食いしばり → 既製品でも可
目的に合わせて、求められる性能や機能を優先してマウスガードを選びましょう。
適切なサイズ選びのコツ
特に既製品のマウスガードを選ぶ際は、自分の口に合ったサイズ選びが重要です。
- 上の歯のサイズに合わせて選ぶ(上顎用マウスガードの場合)
- 歯の大きさだけでなく、歯並びも考慮する
- 実際に口に入れて、違和感がないか確認する
サイズが合っていないマウスガードは、装着感が悪いだけでなく、保護性能も十分に発揮できません。 慎重にサイズを選びましょう。
予算に合わせた選択肢
マウスガードの価格は、タイプやメーカーによって大きく異なります。
- カスタムメイドマウスガード
- 1つ数万円程度
- 長期的に使用でき、トータルコストを抑えられる
- 既製品マウスガード
- 数百円〜数千円程度
- 使い捨てタイプは、長期的には費用がかさむ
自分の予算に合わせて、最適なマウスガードを選びましょう。 ただし、あまりに安価な製品は、品質や安全性に不安がある場合もあるので注意が必要です。
マウスガードの使用方法
せっかく良いマウスガードを選んでも、正しく使用しなければ十分な効果は得られません。 ここでは、マウスガードの正しい使い方について説明します。
正しい装着の仕方
マウスガードは、以下の手順で正しく装着しましょう。
- マウスガードを清潔な水で洗い、よく乾かす
- 上の歯列に合わせて、マウスガードを口に入れる
- 歯でマウスガードを軽く噛み、なじませる
- 違和感がないか、鏡で確認する
カスタムメイドマウスガードは、歯科医の指示に従って装着してください。
マウスガードの装着時間
マウスガードの装着時間は、使用目的によって異なります。
- スポーツ用途
- 競技中や練習中は、常に装着する
- 歯ぎしり・食いしばり対策用途
- 就寝時に装着する
- 1日の装着時間は、6〜8時間程度が目安
長時間の装着は、顎関節や歯茎への負担にもなるので、必要以上につけすぎないようにしましょう。
スポーツ時のマウスガード使用
スポーツ時のマウスガード使用では、以下の点に気をつけましょう。
- 競技規則で義務付けられているマウスガードを選ぶ
- マウスガードを装着していても、強い衝撃を受けたら歯科医に相談する
- マウスガードが破損したり、フィット感が悪くなったら交換する
マウスガードは、あくまでも歯や口腔内を守るための補助的な道具です。 スポーツ時のリスクを完全に排除することはできないので、注意が必要です。
マウスガードのお手入れ方法
マウスガードを清潔に保ち、長く使用するためには、正しいお手入れ方法を知っておく必要があります。
使用後の洗浄方法
マウスガードは、使用後に必ず洗浄しましょう。
- ぬるま湯で洗い、歯ブラシで汚れを落とす
- 洗剤は使わず、水かぬるま湯で洗う
- 洗った後は、よく乾燥させる
歯磨き粉や洗剤は、マウスガードの材質を傷めることがあるので使用しないでください。
保管方法と注意点
マウスガードの保管には、以下の点に注意しましょう。
- 専用のケースに入れて保管する
- 直射日光や高温多湿を避ける
- アルコールやシンナーなどの薬品は使用しない
適切な保管方法で、マウスガードの劣化を防ぎましょう。
マウスガードの交換時期
マウスガードは、以下のような場合に交換が必要です。
- 装着感が悪くなった
- 変形や破損がある
- 使用期間が1年以上経過した
定期的にマウスガードの状態をチェックし、早めの交換を心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか? 今回は、マウスガードの選び方と使い方について、歯科医の視点から詳しく解説しました。
マウスガードは、スポーツ時の歯の保護だけでなく、歯ぎしりや食いしばりの対策としても有効です。 自分の目的に合ったタイプを選び、正しく使用することが大切ですね。
また、マウスガードは正しいお手入れ方法で清潔に保ち、定期的に交換することも忘れずに。
歯や口腔内のトラブルを防ぐために、マウスガードを上手に活用してください。 正しい知識を持って、マウスガードと上手に付き合っていきましょう。
歯や口腔内の健康は、全身の健康につながります。 マウスガードを使うことで、あなたの大切な歯を守ってくださいね。